【口腔内写真】機材

口腔内写真におけるレンズの焦点距離を理解する

こんにちは松島です。
兵庫県で歯科医師しています。

今回は聞かれることの多いレンズの焦点距離について解説していこうと思います。

この焦点距離を理解していないと口腔内写真において最適な機材選択ができません。

ややこしい概念だと思いますが、しっかり理解していただけたらと思います。

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焦点距離とは何か

まずは焦点距離という聞きなれない単語について簡単に説明しましょう。

長くなるので、極力シンプルに必要なことだけをお話しします。

焦点距離というのはカメラにおいて『どれだけの範囲を切り取るかを決める数値』だと思ってもらえたらと思います。

レンズには『Tamron 90mmf2.8』や『AF-S Nikkor 60mm f2.8』のように必ず名前に焦点距離というものが含まれています。この○○mmというのが焦点距離を表します。

この数値が小さいほど広角レンズと呼ばれ 広い範囲が写る。

この数値が大きいほど望遠レンズと呼ばれ狭い範囲を切り取る。

このような関係性にあります。

目安としてスマートフォンのトリプルカメラで説明しましょう(※機種や世代により異なります)。

  • 広角レンズが28mmくらい
  • 超広角レンズが17mmくらい
  • 望遠レンズが50mmくらい

これでだいぶ焦点距離のイメージがつくのではないでしょうか。

またこの焦点距離を変えられないレンズを単焦点レンズと言い、変えられるレンズをズームレンズと言います。

スマートフォンは3つの焦点距離を持っていますが、ズームレンズではなく3つの単焦点レンズの付いたカメラということになります。

ここまでが焦点距離の基本として覚えていただきたい部分です。

焦点距離により変わるのは大きく2点

では実際に口腔内写真において焦点距離がどう関係してくるか説明しましょう。

いろんな要素がありますが、多くの先生方に重要なところだけ紹介します。

ワーキングディスタンス

まず最も分かりやすく変わるのがこのワーキングディスタンスです。

ワーキングディスタンスというのは口腔内写真において言えば歯とカメラまでの距離です。

焦点距離が小さいレンズで口腔内写真を撮ろうとするとワーキングディスタンスが小さく、逆に大きいレンズで撮るとワーキングディスタンスが大きくなります。

ワーキングディスタンスが大きいレンズで女性のスタッフさんが5枚法を撮ろうとすると手の長さの点で取り回しが難しい場面もありますし、逆にワーキングディスタンスが短すぎるレンズだと術中写真で局所をクローズアップして撮ろうとすると、患者さんの顔にカメラが当たってしまうという欠点が生じます。

そのためワーキングディスタンスはそれぞれの用途によって最適なものがあるということです。

口腔内写真と顔貌写真で最適なワーキングディスタンスを求めるための動画はこちらから▽

またこれは画質にこだわる上級者向けの情報ですが、画質をよくするために重要な要素として、『歯に対してライトを近づける』というものがあります。同じカメラや同じライトを使っても画質に差が出るのはこの要素が大きいのですが、ワーキングディスタンスが大きくなるほどライトも離れてしまいがちなので画質が落ちる原因になります。

100mm付近の焦点距離で大きいボックスディフューザーを使用するのが最も画質を得やすいように思います。

歯の奥行き感

続いて焦点距離によって変わるのは歯の奥行き感です。

左が80㎜相当のレンズを使用して撮影した写真で、右が110mm相当のレンズで撮った写真です。

患者さんが違うのでわかりにくいと思いますが、前歯から臼歯までの遠近感・圧縮感がレンズの焦点距離によって変わります。

分かりやすく言うと、

焦点距離の小さいレンズ →近いものが大きく、遠いものが小さく写る(遠近感が出やすい)。

焦点距離の大きいレンズ → 近いものと遠いもののサイズが変わって見えにくい(遠近感が出にくい)。

このような効果があります。

どちらが良い悪いではないですが、見せ方が変わるのでこの要素も知っておいていただいて良いものになります。

焦点距離はカメラによっても変わる。

ちなみにこれを説明するとちょっとややこしいのですが、実は焦点距離というのはレンズだけでは決まりません。

『同じレンズを選んだけれど、なんか思ってたのと違う』ということがあってはいけないので説明しておきましょう。

焦点距離というのはレンズ固有の焦点距離 と カメラのセンサーサイズによって変わるのを知っておいてください。

口腔内写真に使うカメラにおいては主に三種類。

フルサイズ・APS-C・(マイクロ)フォーサーズ というセンサーサイズがあります。

ここでは詳細は省きますが、それぞれのセンサーのサイズによってレンズの焦点距離に以下の数字をかけてください。これが換算焦点距離というものになります。

  • フルサイズ → 焦点距離そのまま
  • APS-C → 焦点距離 ×1.5 (Canonは×1.6)
  • フォーサーズ → 焦点距離 × 2.0

口腔内写真においてはAPS-Cのカメラを使われることが多いので、90mm相当の焦点距離を得ようと思うと60mmを使用する必要があり、90mmのレンズを使うと135mm相当という結構な望遠レンズになるので注意が必要です。

90mmのレンズをフルサイズのカメラで使うのも、60mmのレンズをAPS-Cのカメラで使うのも基本的にはワーキングディスタンスや歯の奥行き感は同等のものになりますので、そこを理解して選択していただけたらと思います。

焦点距離を自由に変える方法

上の内容を見ていただいて分かるように、焦点距離というのは使う人・用途・求める画質・汎用性 これらによってどれを選ぶのが得策が全く変わってくるものになります。

そのため、機材を求められている先生方に詳細を説明するのが非常に大変でした。

それを解消するためにいくつかの焦点距離を使えるデンタルズームレンズというものを考案しました。

これにより90mm相当で5枚法に最適化しつつ、局所の撮影には150mmを使うというように多くのシーンに適した機材を1本で実現することができました。

顔貌写真もクリニックの広さに応じた焦点距離を使用できるのでメリットがあると思います。

『どの焦点距離を選んだらいいか分からない。』『1本だけで万能に使いたい』そういう先生方はデンタルズームレンズという選択肢もいいかもしれません。

デンタルズームレンズの注意点

多くの焦点距離を使えるデンタルズームレンズですが、欠点があります。

それは口腔内写真と、顔貌写真の撮影の切り替えの際にレンズ先端のアタッチメントを外していただく必要があるということです。

口腔内写真を撮って、そのまま顔貌に移っていくという撮影を頻繁にされるクリニックにおいてはわずらわしさがあるかもしれません。

慣れれば5-10秒程度で切り替えられますが、この欠点は知っておいていただいた方が良いと思います。

もしもデンタルズームレンズを使用したカメラを希望される先生は以下のページからチェックしてみてください^^

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