今回は口腔内写真の撮影方法【実践編】です
実践編の前に設定の基礎編も解説しています。
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口腔内写真は咬合9枚法で撮るのがおすすめ
まずはどのような写真を撮っていくべきかというところからお話ししていこうと思います。
口腔内写真というと5枚法というのが一般的で、それを撮られている先生方が多いのではないのかなと思いますが、私自身が実際に日々の診療で撮影しているのは【咬合9枚法】というものになります。
通常の9枚法はペリオ用途で局所を撮る撮影方法ですが、それとは別に咬合を見やすい特に矯正治療に向いた9枚法であることから咬合9枚法と呼んでいます。
5枚法を撮る要領で簡単に撮影できてさらに情報量もかなり多くなるのでおすすめです。
実際の写真がこちらです。

【正面】【上・下】【左・右】の通常の5枚法に加えて、【半開口】【あおり】【側方運動(半開口)×左右】を追加した撮り方です。
5枚法だけだと分からない下顎前歯の観察や、前歯部のカップリング、側方運動時のガイドの様子が記録できるので、かなり観察できる項目が増えます。
それでいて撮影時間は20秒程度しか変わらないので、どうせ撮影をするならぜひ5枚法ではなく咬合9枚法で撮ることをお勧めします。
実際の撮り方
ではその9枚法の実際の撮り方を見ていきましょう。
前歯部撮影
まずは前歯の閉じた正面観からです。
【基準】
1┻1の正中を画面の真ん中に合わせる/もしくは顔貌の正中を画面の縦の正中に合わせる。
※クリニックで統一していただいた方が規格化しやすいと思います
下顎前歯から臼歯部にかけてのラインが画面の水平中央線に合うようにしてください。
上顎前歯のラインを基準にすると臼歯部の傾きが患者さんごとに大きく違ってしまう可能性があるので下顎前歯を基準にすることをオススメします。
半開口
続いてそのまま半開口で撮ります。
可能な限り先ほどの写真から、上顎は動かずに下顎だけが動いた写真になると見やすいです。
半開口で下顎前歯が見えつつ、開けすぎて口唇に下顎前歯の歯肉が隠れないくらいの開口量を指示して撮影します。
前歯部あおり
続いて口角鈎をそのままに下からあおって前歯部のカップリングの確認用の写真を撮ります。
この時鼻を少し入れてやることで、顔貌の正中と歯の正中の位置関係が分かりやすいので、このように撮る方が情報量が多くなるのでオススメです。
患者さんに見せるときに鼻の穴の中が見えるのを気にされるクリニックは表示するときに鼻が写らないように歯の部分を拡大してあげるといいかと思います。
側方運動時写真
ここからは器具を変えて側方を撮影します。
うちのクリニックでは矯正での症例が多いので、このように深くえぐれた口角鈎を使用していますが、この方が臼歯関係までしっかり分かるので、こちらを使うことをオススメします。
その上で、まずは側方の咬合状態ではなくて半開口もしくは側方運動してもらった状態を撮り、そのあとで咬合した状態を撮影します。
それにより開口・半開口の2枚の構図が安定します。
【基準】
左右:右の3を概ね正中にしつつ、左の3が僅かに見える程度の角度から撮影する。左右の歯の写っていないスペースの量が左右対称になるように位置付ける方が後から使いやすい写真になる。
上下:下顎の1〜3までのラインが画面の正中と一致するように位置付ける。
側方写真
先ほどの半開口もしくは側方運動をしてもらった写真から、そのまま奥歯で噛んでもらって撮影します。
半開口・咬合時の写真がこのような形になります。
あとはこれを反対側でも行うようにして下さい。
左右のどちらを先に撮影するかはルーティンでルール化しておいた方が後程整理や比較がしやすいです。
私のクリニックでは右を撮った後、左を撮影します。
上顎ミラー像
続けて上下のミラー像を撮影していきます。
ミラーを挟むと暗くなりやすいので、カメラの設定もしくはストロボのせっていを1段階明るくなるように調整します。
ミラーを入れて、思いっきり大きく口を開けていただいて撮影します。
【基準】
左右:上顎の口蓋縫合が画面の正中線と綺麗に一致するように構図を合わせてください。
上下:左右対称な歯列の場合であれば、同名歯が左右対称の位置にきていることを確認した上で撮影するのが望ましいです。
左右で歯の本数が違う人だと非常に難しいので、正中口蓋縫合に合わせることだけを意識していただければいいと思います。
これを傾かずに撮影するのは非常に難しいのでしっかり練習してください。細かいポイントは後ほど解説します。
下顎ミラー像
続いては同様に下顎を撮ります。
最も綺麗なのは上の写真のような写真です。
舌を上に上げてもらい、それを押さえつけるようにしながら舌小帯のラインが画面の正中ときちんと一致するのが理想的です。
【基準】
左右:舌小帯が画面の正中線と綺麗に一致するように構図を合わせてください。
上下:左右対称な歯列の場合であれば、同名歯が左右対称の位置にきていることを確認した上で撮影するのが望ましいです。
これで撮影は終わりです。
規格性を保って撮る際のコツ
最後に規格性を守って撮るためのちょっとしたコツについて書いておきます。
写真を撮る際にはどうしてもそれぞれの撮影者の癖が出ます。
でも規格写真というのは【誰が撮ってもこう撮れる】というのを目標にするものです。
癖が出ないようにする必要があります。
なのでそのためのポイントを4つ解説します。
フォーカスをやや引き気味でロックする
これは何かというと、口腔内写真においては規格化のためにMF(マニュアルフォーカス)を使用してほしいということと、ミスが起こりにくいように少し引き気味でロックして法しいということです。
撮影倍率を合わせて、MFにしたら基本的にはピントが合う位置が固定化されるため、同じサイズ感で写真を撮ることができるはずです。
ただ、ふとした時にレンズに手が触れて撮影倍率がずれてしまい、いつもよりアップで撮れてしまったり、引きで撮れてしまったりする事があります。これは完全な規格化とは言いにくいです。
なので、このような方法をウチのクリニックでは行っています。
黒いレンズに黒いテープで非常にわかりにくいと思いますが、フォーカスが動かないようにテープで固定しています。
色々な用途にカメラを使用される先生の場合には使えないかもしれませんが、口腔内規格写真専用でカメラを使用される先生にはオススメの方法です。
ここまですると先生自身が撮影した写真も衛生士さんの撮った写真も距離感・歯のサイズ感を統一できます。
傾いた写真を編集で修正する際に前歯や奥歯が切れてしまいやすいので、少し引きすぎなくらいにしておいたほうが後から使いやすいデータになります。
ミラー像はカメラを構える前に構図を決める
続いては構図についてのワンポイントです。
特に構図を決める上で難しいのが上下のミラー像です。
カメラで覗きつつミラーも入れて、しかもピント合わせもしてとなると、迷子になって、かなりねじれた失敗写真を撮る事が多いです。
なので、そこで気をつけていただきたいのが、『カメラを構える前に肉眼で構図を決める』というものです。
これはまず患者さんの口にミラーを入れて、ねじれのない状態を肉眼で確認しておいてから、その見ている目の前にカメラを持ってきて、あとはピントを合わすためにカメラを前後させるだけ という事です。
何事もそうですが、慣れないうちにいろんなことを同時並行すると失敗するので、1つずつ項目を満たしていくようにしましょう。
ミラーを温めて曇らないようにしておく
これもミラー像でのポイントです。
上下の写真を撮る時に難しくさせる要素がミラーが曇ってしまうことです。
ミラーが曇るから患者さんの息の落ち着いたタイミングを狙おうと待っている間に手がカメラの重さに疲れて、構図が崩れる、ピントがずれるというのが非常に多いです。
そのため、ミラーが曇らないように温めておく事ができたら、そのミスの要因を減らせます。
このようなお湯を入れる専用容器をCi等で購入していただくのがオススメです。
お湯を張ったラバーボールで代用しても良いでしょう。
上下のミラー像の写真の難易度が格段に下がると思います。
自分の写真をよく見てフィードバックする
そして最後がフィードバックです。
これは当たり前のことなのですが、写真がうまくいかない原因にフィードバックが足りていないことは多いです。
先生方はご自身がその写真を使って説明や発表されるので撮った写真の質にはこだわられると思いますが、スタッフさんは基本そうではないと思います。
撮れればいい・写ればいいという感覚の人も多いと思うので、今撮っている写真の重要性を伝えてあげるのと撮った写真の評価をしてあげる事が重要です。
どうせ撮るなら良い写真を撮る方が絶対に良いので、その部分をしっかり共有してあげて下さい。
それをするだけで、すごくスタッフの方も写真がうまくなるはずです。
はい、ということで今回は
口腔内写真9枚法という規格写真に関する内容でお話ししていきました。
まずは重要な要素を満たして、そこからこだわって細かい部分まで綺麗に撮っていただけたら嬉しいです。
この情報が参考になりましたら、ぜひ周りの先生や衛生士さんにシェアしていただけたら励みになります^^
設定に関してはこちらの記事から
口腔内写真の機材の紹介もしているので興味ある先生はこちらもチェックしてみてください。